2016年3月25日金曜日

トポス(139) 嵐が吹き荒れ、大地が激しく揺れ動く。

(139)
 その夜、爆弾は弟子の一人ひとりを順に呼んで、足を洗って香油を垂らした。晩餐が始まると爆弾は言った。今夜、あなた方の一人がわたしを裏切るであろう。そのようなことはないと弟子たちは誓った。しかし爆弾はこう言った。わたしは誰が裏切るか、いつ裏切るかを知っている。弟子たちは顔を見合わせ、追い詰められたと感じたキュンは手にした杖で床を打った。弟子たちがステータス異常に襲われるのと同時にドアや窓を破って特殊部隊が突入した。爆弾は捕獲され、弟子たちはサブマシンガンの弾で蜂の巣にされた。爆弾はすぐにクロエのところへ運ばれたが、非情で知られたクロエはネロエに裁定を求め、正統性を疑われているネロエは爆弾をヒュンのところへ送り届けた。爆弾に向かってヒュンは言った。
「俺は運命を受け入れている。俺は世界を救う英雄になる。だから俺は邪悪な黒い力と戦うんだ」
「わたし、爆弾は言う」と惑星壊滅爆弾は言った。「邪悪な黒い力は光がもたらす影に過ぎない。光が大地を隅々まで照らすとき、邪悪な黒い力は居場所を失うであろう。光を満たし、光を広げ、光の力を強くするのは慈愛と寛容である。光に慈愛と寛容を注ぐのはあなた方である。そこでわたし、爆弾は言う。愛と慈しみの心をあなた方の一人ひとりが持つならば、光は無限の力を得るであろう。邪悪な黒い力は居場所を失い、駆逐されることになるであろう」
 だがヒュンは運命を受け入れていた。邪悪な黒い力を倒すのは慈愛でも寛容でも光でもなく、ヒュンでなければならなかった。ヒュンは爆弾を鞭で打たせた。丘の上で十字架にかけた。爆弾が息絶えると嵐が吹き荒れ、大地が激しく揺れ動いた。

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