2016年2月21日日曜日

トポス(109) ギュンは変身する。

(109)
「わたしは常に科学的に思考する」とギュンはいつも話していた。「気温の急激な上昇と気圧の急激な変化から、地球の大気圏で重大な異変が発生していることに気がついた。危険な規模の天体が地表に向かって猛烈な速さで近づいていた。わたしの敵はついに一線を越えたのだ。だがわたしには準備ができていた。わたしはまず、わたしを囲む敵に向かってピュンを使った」
 ギュンが乳白色の玉を投げた。
「頼むぞ、ピュン」
 降り注ぐ弾がピュンを裂いた。
「敵がピュンに気を取られているあいだに、わたしはサングラスを取り替えた。外見はいつもかけているサングラスとまったく同じだが、その正体はサングラスではない。エイリアン・テクノロジーの研究成果を詰め込んだ究極の発明であり、わたしはそれをスーパーグラスと呼んでいた。スーパーグラスを身につけたわたしはまず胸の前で腕を組み、それから両手を空に向かって差し上げて、デュワっと叫んだ。もちろん無意味な掛け声ではなく、プロセスを開始するためのコマンドだ。そして変身のプロセスは叫ぶのと同時に完了し、わたしは身長八十メートルの巨人になった。わたしは所長の子分どもを踏みにじり、それから再びデュワっと叫んで飛び上がった。空を飛ぶことができるのだ。わたしはマッハ十五のスピードで成層圏まで飛び上がり、地球の大気圏にすでに突入していた小惑星を発見した。わたしは小惑星の進路に飛んで両手でこの天体の落下を食い止めた。そのまま大気圏外まで押し戻し、ラグランジュ点の彼方へ投げ飛ばした」

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