2015年12月12日土曜日

トポス(48) ヒュン、買い物をする。

(48)
 ヒュンは街道を南へ進み、最初に見つけた町で宿を取った。まず質屋を探して、そこでエルフの宝物を金に換えた。次に金物屋を探して、そこで防具を手に入れた。ヒュンの剣はあらゆる魔法攻撃を跳ね返したが、ステータス攻撃を跳ね返すことはできなかった。だから大金を払ってステータス攻撃を無効にするという紐を買って、それを腕に巻きつけた。クロエが物欲しそうな目をヒュンに向けたが、紐を一本買っただけで手持ちの金がなくなった。食事をする金も残らなかった。
「どうするのよ?」とクロエが言った。
「おまえが考えろ」とヒュンが言った。
 クロエがショットガンを肩からはずした。ショットガンを腰で構えて向かいの銀行に乗り込んでいった。キュンが杖を抱えてあとを追った。銃声がして、悲鳴が聞こえた。クロエが札束をつかんで戻ってきた。
「甲斐性なし」
 そう言いながらヒュンに札束を押しつけた。ヒュンはその金を持って町一番の店に乗り込んだ。キュンが杖を抱えてあとを追った。七人の踊り子と踊ったので明け方には文無しになっていた。店から追い出されて宿に戻るとクロエが赤い目をして怒っていた。
「ろくでなし」クロエが叫んだ。「酔っ払いの色ぼけ野郎」
 ヒュンがクロエの頬を叩いた。
「俺にはおまえだけだ」
 ヒュンが言うとクロエが叫んだ。
「死んじまえ、屑野郎」
 ヒュンがクロエの頬を叩いた。

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