2015年9月21日月曜日

メガマインド

メガマインド
Megamind
2010年 アメリカ 117分
監督:トム・マクグラス

宇宙のどこかで生まれた子供は赤ん坊のうちにロケットに乗せられて宇宙を渡り、渡っているうちに同じようにロケットに乗って宇宙を渡っている赤ん坊と遭遇して、こちらは頭が禿げていて青い肌をしているのに向こうは金髪でふつうの肌をしていて、飛び方も含めてなんとなく邪魔くさくて気に入らないような気がしていると、二つのロケットは間もなく地球に接近、金髪をふさふさと生やした赤ん坊は大富豪の家の居間に滑り込んで迎え入れられ、こちらは刑務所に庭に落ちて囚人たちに飼われることになり、囚人たちから善悪についていろいろ教えられながら発明の才能を発揮すると、近くにある英才教育の学校に囚人服で送り込まれ、ところがそこには例の金髪ふさふさの子がいてまわりの子供たちの人気を獲得していて、こちらは味噌っかす扱いされる上に悪い子の烙印を押されて、ということで、ある日、とうとう嫌気が差して、そういうことならいっそ悪党になろうと心に誓ってメガマインドと名乗る悪党になってメトロシティの平和を乱し、一方、金髪ふさふさはメトロマンと名乗ってメトロシティの平和を守り、メガマインドが美貌のニュースキャスターでメトロマンと恋仲であると噂されるロクサーヌ・リッチーを誘拐するとメトロマンが助けに飛び立ち、メガマインドが用意した様々な恐怖の仕掛けにロクサーヌ・リッチーが辟易して誘拐カードにスタンプを押してくれと頼んでいるころ、一切の予想に反してメトロマンが死亡するという事件が起こり、メガマインドはメトロシティを手中にするが、どうにもこれは張り合いがないということでメトロマンのフケからメトロマンのDNAを取り出してヒーローを作ることになり、その人選に悩んでいたところで事故があってロクサーヌ・リッチーの同僚のカメラマンがヒーローになるが、メガマインドの教育にもかかわらず、まったくヒーローの資質を備えていないこの男はタイトンと名乗ってスーパーパワーを悪用し、ロクサーヌ・リッチーをさらってメガマインドに挑戦する。
DREAMWORKS製作のアニメーション作品で、原案にはギレルモ・デル・トロが関わっている。メガマインドの声がウィル・フェレル、メトロマンがブラッド・ピット、ロクサーヌ・リッチーがティナ・フェイ、ジョナ・ヒルが見たまんまの外見でタイトン。メガマインドに最初から付き添っているミニオンがかわいい(ただしこちらは黄色いあれではなくてお魚で、声を担当しているデヴィッド・クロスは『ミヒャエル・コールハース』で伝道師、つまりルターをしていたひとらしい)。正統派ヒーロー物の大胆な変奏で、それぞれのキャラクターがよく描き込まれ、台詞はテンポが速くて心地よい。プロットはこじんまりとしているが、『モンスターVSエイリアン』と並ぶ傑作だと思う。『ターボ』にしてもそうだけど、これが劇場公開されないというのはいささかという以上に奇妙であろう。しかもDVDすらリリースされていない。
Tetsuya Sato