2015年8月13日木曜日

エヴァリー

エヴァリー
Everly
2014年 アメリカ 93分
監督:ジョー・リンチ

タイコと名乗るヤクザの親分に四年間も囲い者にされて自由を奪われていた非力な娼婦エヴァリーはたまたま警察と接触することに成功してタイコ逮捕のために組織の情報を流すことに同意するが、たちまち正体が露見してアパートのトイレに追いつめられ、隠しておいた電話で担当刑事にかけても相手が出ない、ということで同じ場所に隠しておいたワルサーP99を手に取ると部屋に戻ってその場にいたヤクザ数人を殺害、そこへタイコから電話がかかってエヴァリーの娘メイシーに手をかけると脅すので、エヴァリーは母親に連絡してメイシーの安全をいったん確保、娘に会うために部屋から出ようとするとアパート全体がヤクザに占拠され、賞金首となったエヴァリーをねらって同じフロアの娼婦たちが次から次へと襲いかかり、ショットガンを持った見張りも襲いかかり、それをことごとく撃退するとエヴァリーはさらにシェパードと戦い、わたしはサディストです、これはわたしのマゾヒストです、いけマゾヒスト、うおお(マゾヒストだからサルマ・ハエックに撃たれてもうれしいだけだ)、などというものと戦い、サディストに捕えられて拷問の恐怖と戦い、タイコが送り込んできた完全武装のヤクザ特殊部隊と戦い、手榴弾を投げ、Ultima 100マシンガンを撃ちまくり、最後にタイコ本人と戦う。 
ということで最初から最後までアパートの一室からほぼ出ずに、サルマ・ハエックが血まみれになりながら、上のフロアから苦情が出るほどの騒々しさで死体の山を積み上げていく。ゴア描写は遠慮がなく、表現はほぼスプラッターで、サルマ・ハエックが怪演すると、ヤクザの親分に扮した渡辺裕之も変態ぶりを積み上げていく。演出はやや要領を得ないし、構成も微妙にバランスを欠いているが、サルマ・ハエックをいじり倒すという目的は明確で、この目的はきちんと達成されており、異様な日本情緒も含めて笑いどころも事欠かない。エヴァリーに腹を撃たれて死にかけているだけ、という役柄のアキエ・コタベという日系の俳優がいい味を出していた。


Tetsuya Sato