2015年6月27日土曜日

Plan-B/ 坑道

S6-E15
坑道
 鎖に繋がれた鉱夫たちが鶴嘴や槌を手にして暗い坑道へ下りていった。ところどころで燃える獣脂の炎が坑道の濁った空気をあぶっていた。鉱夫たちは鎖の音を響かせながら影を伝って坑道の奥へ進んでいった。そして剥き出しの岩に向かって鶴嘴を振るい、こぼれた岩を槌で砕いた。少しでも休むと見張りが怒鳴り、鞭が飛んだ。玉の汗が流れ落ちる。鉱夫の一人が鶴嘴を振った。耳に障る響きとともに壁が崩れて漆黒の穴が口を開けた。空気が流れ、黄ばんだ炎が吹き飛ばされ、暗がりの中で影が動いた。鉱夫たちは気配におびえて、逃げようとして足を鎖に絡め取られた。悲鳴が上がり、骨が砕ける音がした。血をすする音が、肉をしゃぶる音がした。鉱夫たちが助けを求めて声を上げ、松明の炎が坑道を照らした。肌に皺を刻んだ化け物が炎をにらんで口を開けた。並んだ牙から血をしたたらせた。

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