2014年12月23日火曜日

Plan-B/ 尖兵

S2-E02
尖兵
 夜半をだいぶ過ぎたころ、町の人々は強い揺れを感じて飛び起きた。窓のガラスが震えていた。警察や消防の電話が鳴り、急き切ったいくつもの声が、いまのはなにか、と問いかけた。なにかが空を横切っていくのをはっきりと見た、と言う者がいた。町のはずれの閉鎖された炭鉱になにかが落ちた、と言う者もいた。夜勤の無線係はパトロール中の警官を呼び出して炭鉱に送り、指令を受けた警官は現場に到着したという報告のあとで連絡を絶った。警察署長は町の警官に非常呼集をかけると炭鉱へ通じる道を閉鎖し、数人の警官を連れて出発した。しばらくしてから、あれはなんだ、と叫ぶ署長の声が無線の向こうからほとばしり、続いて数発の銃声が聞こえた。署長との連絡はそれで途絶えた。人々はパジャマ姿で恐怖を噛み締め、市長は町の重鎮を集めて協議を始めた。明け方には封鎖線にいる警官たちとも連絡を取ることができなくなった。そして朝日とともに、それが町に現われた。銀色に輝く紡錘形の物体が宙に浮かんで、音もなく囲い場に近づいて、白い光を周囲に放って納屋や牛を灰に変えた。紡錘形の物体が進んで白い光を浴びせると、学校も病院も灰になった。教会の尖塔がマッチの燃えカスのように崩れ落ちた。町の人々は逃げ出した。

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