2014年11月22日土曜日

Plan-B/ 爪

S1-E07
 ペントハウスの広いテラスをバスローブをまとった男が歩いていく。ウィスキーが入ったグラスを手にしてプールに近づき、プールの脇のテーブルの上にグラスを置いた。バスローブのポケットに手を入れて、葉巻、ライター、カッター、サングラスを出してテーブルの上のグラスのまわりに並べていく。バスローブを脱いで軽く畳むと二つ並んだビーチチェアの一方にかけ、残る一方に身を横たえて葉巻を取って香りを嗅いだ。カッターを使って端を切り、口にくわえてからライターを取って葉巻の先端を念入りにあぶった。口からゆっくりと煙を吐く。グラスを取って琥珀色の液体を口にふくみ、グラスを置いてサングラスを手に取った。サングラスをかけて空を見上げて、奇妙な影に気がついた。巨大なものが太陽を背にして羽ばたいている。それは邪教の呪文で甦った翼ある蛇の神、ケツァルコアトル。常に太陽を背にして飛ぶので誰にも見られることはない。それは獲物に気がついた。凶暴な爪が舞い降りてきて、男をつかんで空の彼方へ運び去った。
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