2014年11月20日木曜日

Plan-B/ 羽音

S1-E04
羽音
 垂れかかる森の下で川が木漏れ日を浴びている。川辺に若い男女が現われた。二人は服を脱ぎ棄てて、冷たい水に入って悲鳴とも歓声ともつかない上げた。胸まで水に浸かって唇を重ね、肌を重ねた。男は唐突に水にもぐり、女は男を探して暗い水に目を這わせた。女が羽音を聞いて顔を上げる。黒いものがすばやく舞い下りてくるのを目で感じて、咄嗟に腕を上げて顔をかばう。焼けるような痛みが腕に走った。痛みが肩から頭に駆け抜けた。前腕が膨れ上がり、皮膚がめくれて血が流れ出し、女の口から絶叫があふれた。男が水面を破って現われた。笑みが消えて恐怖が浮かぶ。女の腕に蚊の拡大模型のようなものがとまっていた。それが羽音を立てて舞い上がった。一直線に近づいてくる。

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