2014年9月23日火曜日

オーバードライヴ

オーバードライヴ
Snitch
2013年 アメリカ/UAE 112分
監督:リック・ローマン・ウォー

ミズーリで建築業を営むジョン・マシューズは離婚した妻と暮らす息子が麻薬密売容疑で逮捕され、しかもそれが事実上の誣告であるにもかかわらず救済策がないまま懲役10年の実刑判決を受けたのに驚いて連邦検事との面接を求め、捜査協力を申し出て息子の減刑を要求し、連邦検事が拒否すると勝手に潜入捜査の手はずを整えて麻薬密売組織に足を突っ込み、DEAもジョン・マシューズのサポートにまわり、ジョン・マシューズが自前のトラックを使って麻薬の輸送を成功させるとカルテルのほうがジョン・マシューズに評価を与え、大物が引っかかってきたのを知った連邦検事は息子の減刑と引き換えにジョン・マシューズに潜入捜査の続行を求める。
ジョン・マシューズがドウェイン・ジョンソン、連邦検事がスーザン・サランドン、DEAの捜査官がバリー・ペッパー、カルテルのボスがベンジャミン・ブラット、ジョン・マシューズに巻き込まれる元麻薬密売人が『ウォーキング・デッド』のジョン・バーンサル。実話の映画化ということで、それで主役がドウェイン・ジョンソンだとどうなるのかと思っていたら、アクションなしで家族の不幸に苦悩する父親を熱演していて、これがなかなかに見ごたえがあった。アクションシーンになるのは終盤のフリーウェイくらいだけど、18輪トラックの疾走ぶりも含めて迫力がある。映画の主旨は初犯でも20年を食らう可能性がある現行法制度の問題を指摘することにあるようで、だから麻薬組織は地元もカルテルも恐ろしいことは恐ろしいけれどそれぞれの流儀で淡々とビジネスをしているだけ、いちばん怖いのは法と権力を握っている連邦検事という構図になっていて、抑制された演出は全体に緊張感が高く、渋めのキャストもよく動いていて、それぞれにいい味を出している。