2014年9月14日日曜日

砂漠の流れ者

砂漠の流れ者
The Ballad Of Cable Hogue
1970年 アメリカ 122分
監督:サム・ペキンパー

二人の仲間に水を奪われ、砂漠に放りだされたケーブル・ホーグは神様、お助け、などとつぶやきながら渇きに苦しみ、四日目、力尽きようとしたところでたまたま水を掘り当てる。見つけた泉は二つの町の中間にあり、交通の要所に面していたので、ケーブル・ホーグはその土地を政府から買い求め、銀行から融資を受けて小屋を建て、駅馬車の運営会社と契約を交わす。そうしてそこに腰を据えていれば、いつかは自分を裏切った二人組が現われるもの、と想定していて、三年の後、事実はそのとおりとなってケーブル・ホーグは復讐を果たし、そのあとでたいそうあっけなく死んでしまう。
『砂漠の流れ者』という邦題に反して主人公ケーブル・ホーグはほとんど移動しない。時代はすでに二十世紀の初めに差しかかっていて、馬車に代わって自動車が走り始めている。基本的には善人のみが登場し、砂漠の風景は穏やかで、自分に忠実だが少々不器用な男といかがわしい牧師の組みあわせはなかなかに笑えるし、そこへ交わる安っぽい娼婦がまたきらきらと輝いていて、なんだか心が温まるのである。ペキンパーの強いて言えばコミカルな演出はどちらかと言えば野暮ったいが、ジェイソン・ロバーズ、デヴィッド・ワーナーという大好きな役者が二人出ていて、それぞれが魅力を全開にしていて、そこへステラ・スティーヴンスが加わって、それもまた魅力的ということになれば、もう言うことは何もない。 

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