2014年8月17日日曜日

アメリカン・ハッスル

アメリカン・ハッスル
American Hustle
2013年 アメリカ 138分
監督:デヴィッド・O・ラッセル

1970年代末、ブロンクスとマンハッタンにクリーニング店を持ち、父親譲りのガラス店も経営し、詐欺師であり贋作商であり故売屋でもあるアーヴィング・ローゼンフィールドはあるとき友人宅でシドニー・プロッサーと出会って心を通わせると二人で組んでおもに詐欺師の事業を発展させて仲良く春を謳歌するが、アーヴィング・ローゼンフィールドには妻子があって、息子には強い愛を感じていても鬱傾向があって自己啓発系の読書を好み、圧倒的な言語力を誇る妻ロザリンにはいささか思うところがあって、それはそれとしてシドニー・プロッサーと仕事を続けていくとFBIの仕掛けた罠にかかり、FBIの捜査官リッチ―・ディマソの要求で免責と引き換えに詐欺師四人を罠にはめることに同意するが、計画を進めるうちにニュージャージー州カムデンの市長カーマイン・ポリートが線上に浮かび、汚職を厭わずにたたひたすら自らの善意にしたがって州民のために働くポリートを逮捕することにディマソの上司は躊躇するが、情緒面に問題のあるディマソは一直線に興奮して上司の上司を説得、ポリートが進めるカジノ事業に加担するための資金をFBIから引き出し、ニュージャージーに乗り込んでいくとそこにはカジノ事業にかかわるマフィアがぞろぞろ湧いていて、ディマソはこれを一網打尽にしようとたくらんでいよいよ興奮していくが、そこでアーヴィング・ローゼンフィールドの妻ロザリンが思わぬ変数となってかかわってくる。 
詐欺師がクリスチャン・ベイル、その愛人がエイミー・アダムス、妻がジェニファー・ローレンス、FBIがブラッドリー・クーパー。 演出自体は全体にゆるめだとは思うものの、そのゆるめの空間に置かれた出演者が制約を受けずに生き生きと演じていて、だから演技を見ているのは非常に楽しい。クリスチャン・ベイルの化け方には少々驚いたが、エイミー・アダムス、ジェニファー・ローレンスの力演にはとにかく感心した。目移りが多くて即興を疑わせる撮影は薄さが目立って最初のうちは乗りが悪いものの、結果としてはやや神経症的なキャラクター造形によく噛み合っている。造形性に多少の疑問を感じないではないものの、面白くできた映画だと思う。 


Tetsuya Sato