2014年5月9日金曜日

ル・ブレ

ル・ブレ
Le Boulet
2002年 フランス/イギリス 108分
監督:アラン・ベルベリアン、フレデリック・フォレスティア

暗黒街の住人モルテスが刑務所にぶちこまれてからすでに7年、看守長レッジオに頼んで買っておいた宝くじは1500万ユーロの当たりとなったが、くじの現物はレッジオの女房が持ったまま、しかも当たりの決まった翌日レッジオは刑務所に出勤しない。すっかり疑心暗鬼の虜となったモルテスは刑務所を脱獄し、警察の追跡を振り切った上に巨大な観覧車まで破壊してレッジオの家を急襲し、そこでモルテスへの恐怖から自殺を図ろうとしていたレッジオを捕らえ、女房から宝くじを取り戻すためにアフリカを目指して出発する。それというのも女房がパリ・ダカール・ラリーの医療班の仕事でアフリカにいたからであったが、女房を追って砂漠へ入り、ラリーに潜入してベルベル人の盗賊に襲われ、砂漠でエヴィアンを売りつけようとしたアフリカ人には襲いかかり、そうしているうちに女房はさらわれギャングには襲われ、そのギャングはギャングに襲われ、ブラックマーケットの商人も現われ、もちろん最後には警察もやってくるけれど、勇敢な黒人警官には実はおそろしい秘密があったりする。
今ひとつ受けが悪くても最後までとことんやるという方針の映画で、そうした意味ではフランス風の暴力的で野暮ったいコメディだけど、時間もお金もかけてきちんと真面目に仕事をしましたという感じの仕上がりがよくて、好感度はかなり高い。落としどころにペーソスを漂わせて、何をやっていてもなんとなく世界と噛みあわないという雰囲気もよろしいと思う。 



Tetsuya Sato