2014年5月12日月曜日

いのちの戦場 アルジェリア1959

いのちの戦場 -アルジェリア1959-
L'ennemi intime
2007年 フランス 108分
監督:フローラン=エミリオ・シリ

1959年のアルジェリア、カビリア地方。志願して前線を訪れたテリアン中尉は小隊を率いてFNLの影を追ううちに戦争の正体に出会い、いつの間にか理想主義は影をひそめ、帰るべき場所を見失う。現代における不正規戦のいわば草分け的な戦争なので、非人道的な行為が繰り返され、交戦規定に嘘が目立ち、捕虜は拷問され、村は焼かれ、村人は虐殺される。
フローラン=エミリオ・シリの演出は『スズメバチ』『ホステージ』と同様、構築性に乏しいが、おもに印象の断片から構成されているこの作品について言えば、構築性の乏しさが主人公の解体された心象を不思議なバランスで補強する結果となっている。戦闘は小隊規模で、フランス軍の主力火器はMAT-49。ナパーム弾攻撃のあとの惨状はかなりむごたらしい。


Tetsuya Sato