2014年4月4日金曜日

ホワイトタイガー ナチス極秘戦車・宿命の砲火

ホワイトタイガー ナチス極秘戦車・宿命の砲火
Belyy tig
2012年 ロシア 104分
監督:カレン・シャフナザーロフ

1943年、前進するソ連軍の前に謎のタイガー戦車が無敵状態で出現してはソ連軍部隊に壊滅的な打撃を与えて姿を消す、ということが起きるので、ソ連軍も増加装甲したT34/85を用意して戦車の声を聞くことができる記憶喪失の戦車兵を車長に任命して反撃する。 
まず、冒頭の戦場の場面が非常によくできていて感心した。最小限の人物構成で淡々と状況に対処していくストイックな構成も好ましいし、音から光からむごたらしさまで戦闘の細部にわたる描写にも感心した。問題のタイガー戦車が登場したり退場したりする場面のなんとなく人外な感じがよくできているし、対するT34の戦車の残骸や民家を盾にした戦いぶりも面白い。戦車対戦車にこだわって低いところにディテールを積み上げていって、終盤それがいきなり高いところへ飛びあがってしまうのにはちょっとびっくりしたが、意図がそこにあるのだとすれば構造的に誤りはない。作りはまじめで誠実だし、T34やSU152がぞろぞろ出てくるところは素朴にうれしい。
Tetsuya Sato