2014年4月11日金曜日

組織

組織
The Outfit
1973年 アメリカ 105分
監督:ジョン・フリン

開巻、牧師とタクシー運転手に偽装した二人組の殺し屋に男が殺され、殺された男の弟アール・マックリンは刑務所から出て愛人ベット・ハーロウが用意したコテージに入るとそこに殺し屋が現われ、殺し屋はマックリンに反撃されて雇い主の名前をもらし、ベット・ハーロウもまた同じ男に脅されていたことがわかり、マックリンは殺し屋を追い払うと殺し屋の雇い主メナーがポーカーをしているホテルの部屋に押し入って有り金を巻き上げ、さらに自分が狙われた理由をたずねると、どうやら前に襲ったウィチタの銀行が組織の持ち物で、そのせいで組織の怒りを買っているらしい、ということが判明するが、それはそれとしてマックリンは兄を殺されたことで25万ドルの慰謝料を求め、メナーが支払いを拒むと払うまで縄張りを荒らすと宣言してホテルから去り、相棒のコディに声をかけて仲間に引き入れ、武器を手に入れて宣言したとおりに組織の縄張りを荒らしてまわり、さらには組織のボスに至近距離まで接近してみせるので、組織のボスはマックリンを罠にかけ、マックリンは罠から逃れて反撃に出る。
ウェストレイク『悪党パーカー/犯罪組織』の映画化で脚本もジョン・フリン。マックリンがロバート・デュヴァル、コディがジョー・ドン・ベイカー、ベットがカレン・ブラック、組織のボスがロバート・ライアン。
冒頭の二人組の殺し屋の妙にこなれた描写(手分けして標的を探し、一人が見つけても相棒が横に立つまで銃を出さない)からマックリンと殺し屋の会話(ハンカチくれないか)、マックリンの持ち物へのこだわり(祖父さんの懐中時計、銃に触るな)と気の利いた場面の連続で、手短にまとめられたアクションはスタイルがあり、ほどよく緩急が加えられた語り口が心地よい。
禿を隠しもしないロバート・デュヴァルがかっこいいし、ジョー・ドン・ベイカーはチャーミングだし、対するロバート・ライアンは実に品がいい。そのロバート・ライアンの女房役のジョアンナ・キャシディがテニスをしているシーンではコーチの役でちらっと現われるのがトニー・トラバートで、これは著名なプロテニスプレイヤーらしい、ということで細部までこだわった「B級映画」の傑作である。 


Tetsuya Sato