2014年4月22日火曜日

ラスト・タイクーン

ラスト・タイクーン
The Last Tycoon
1976年 アメリカ 112分
監督:エリア・カザン

地震があった晩、映画会社のプロデューサー、モンロー・スターは水浸しになったセットで亡き妻に似た女を目撃し、女に近づいて強引に誘うと女はあれやこれやと理由をつけてモンロー・スターを遠ざけようと試みるが、ふとしたはずみから同衾する関係となり、モンロー・スターはいよいよ女に拘泥するが、女はモンロー・スターを顧みずにすでにいた婚約者と結婚する。
原作はフィッツジェラルド、脚本はハロルド・ピンター。モンロー・スターがロバート・デ・ニーロで、おそらくは役柄に対して役作りが若すぎるし、演技についている演出がおそらくは統一を欠いている。キャサリン・ムーア役のイングリッド・ボールティングは単なる小娘で魅力がない。魅力がない、と言えば大物女優として登場するジャンヌ・モローが不思議なくらい魅力がない。撮影中の映画でジャンヌ・モローの相手をするのがトニー・カーティス、モンロー・スターの上司の役でロバート・ミッチャム、弁護士役でレイ・ミランド、脚本家がドナルド・プレザンス、ニューヨークからやってくる脚本家組合の代表がジャック・ニコルソン、冒頭、撮影所のガイドの役でジョン・キャラダインとオールスター・キャストの映画だが、訳知り顔のダイアログは失敗が目立ち、撮影は凡庸で、演出は体力を欠き、人物は中途半端な造形のまま、ただ配置されるだけで終わっている。退屈な映画だが、デ・ニーロとジャック・ニコルソンがピンポンをする場面だけはどうにか鑑賞に堪える仕上がりになっている。 

Tetsuya Sato