2014年3月31日月曜日

空爆大作戦

空爆大作戦
La battaglia d'Inghilterra
1969年 イタリア 118分
監督:エンツォ・G・カステラッリ

イギリス兵に偽装したドイツのスパイの一団がダンケルクから撤退するイギリス軍に混じってイギリス本土に潜入してレーダー基地の破壊工作を進めるので、事実に気づいたイギリス陸軍の中隊長が自分の中隊を率いてスパイと戦う。
で、このドイツ人スパイはイギリス兵になりすますためにイギリス兵を殺しては身ぐるみを剥いで制服と身分証を奪い、疑われるとまたイギリス兵を殺して身ぐるみを剥いで制服と身分証を奪う、ということを繰り返すので、ロンドン周辺に下着姿に剥かれたイギリス兵の死体がごろごろと転がることになるのである。おまえらには身分証を偽造するという知恵がないのかと思わず突っ込みたくなるが、後半で一度だけ、通行証を偽造していた。
いささか間抜けな内容ではあるものの、とにもかくにもそういうところに恋と友情と裏切りとアクションが盛り込まれ、しかも上空ではいちおう『バトル・オブ・ブリテン』をやっていて、実機が若干登場するほか、フルスケールのコクピットのセットの背後でミニチュアを飛ばしたり、マルチスクリーンやスプリットスクリーンを多用して再現映像と記録映像を並べたり、といった視覚的にはなかなかに野心的な試みが見え、カメラワークのみに関して言えば初期のデ・パルマ風に凝ったものとなっている。
冒頭のダンケルクのシーンや海峡を渡ったあとの再集結のシーンなどもそれなりにきちんと作られていて、このクラスのイタリア製戦争映画としてはそれなりのスケール感を備えている。


Tetsuya Sato