2013年12月20日金曜日

人生に乾杯!

人生に乾杯!
Konyec
2007年 ハンガリー 107分
監督:ガーボル・ロホニ

1950年代後半、ハンガリー共産党の運転手をしているエミル・キシュはとあることから階級敵の娘ヘディと出会い、それから50年ほどが経過してエミル・キシュは81歳になり、妻のヘディも71歳になり、わびしい年金暮らしでアパートの家賃も払えず、電気もとめられて、という生活をしているところに執行吏が現われてヘディが最後に残していたイヤリングまで持っていくのでエミル・キシュはソ連人が残していったトカレフを手にチャイカに乗り込むと郵便局で強盗を働き、ガソリンスタンドでも強盗を働き、稼いだ金で電気料金を支払い、妻のためにテレビを買い、そうしていると警察に身元が割れて刑事がエミル・キシュの家に現われ、エミル・キシュがヘディを呼び出すと警察はエミル・キシュを罠にかけて捕えようと試みるのでヘディがエミル・キシュに警告を囁き、老夫婦はチャイカに乗り込んで警察の目をくらますとさらに強盗を繰り返す。
主人公の老夫婦が非常にチャーミングで、周辺人物の描き込みもうまい。空間処理や音楽などが微妙にアメリカン・ニューシネマな雰囲気で『バニシング・ポイント』を意識しているような気配が見えた。決して洗練された演出ではないし、終盤の刈り込みに少々乱暴さを感じたが、それでも作りはていねいで、そしてなによりもチャイカが強い。いい映画だと思う。


Tetsuya Sato