2013年11月22日金曜日

ハービー/機械じかけのキューピッド

ハービー/機械じかけのキューピッド
Herbie: Fully Loaded
2005年 アメリカ 101分
監督:アンジェラ・ロビンソン

シリーズ五作目。ストックカー・レースの名門の家に生まれたマギー・ペイトンはつまらない理由で父親からレースへの参加を禁じられていたが、大学卒業祝いに車をもらえるという話になって、それでスクラップ場でハービーと出会った結果、ハービーに引きずられるようにしてレースに参加するはめになり、もともと才能もあったことからチームの欠員を補うためにNASCARネクステル・カップに出場する。
マイケル・キートンが父親、マット・ディロンがストックカー・レースの王者で、当然ながら悪役である。主人公マギーの苦悩がうざったいが、内容はそれなりに盛りだくさんで、だれ場を見せないような工夫があり、水準はクリアしている。ただ『レーシング・ストライプス』でもそうだったけど、この手の映画に登場する父親の理不尽な頑固ぶりは単なる機能不全のようにしか思えず、はっきり言って意味がわからない。
ハービーはまばたきをする、怒る、笑う、からだを震わせて水をはじく、などの芸を身につけているほか、爆転などの荒技も披露する。冒頭、ひどく落ちぶれた姿で登場し、スクラップ場でスクラップ寸前になっているような有様で、必死の抵抗が痛々しい。中盤ではデモリションショーに投げ込まれてここでもひどい目に遭うけれど、幸いなことに立ち直りは早いみたいで、黄色い新型ビートルと恋に落ちる。ただ、こうなってくると傍から見た場合、ハービーの行状はほとんどホラー映画のそれであろう(本人はドライブイン・シアターでホラーを見て震えていたが)。レースシーンは見ている範囲(四作目のブルース・キャンベル主演のテレビ版を見ていない)ではいちばんそれらしい仕上がりになっていた。

Tetsuya Sato