2013年10月6日日曜日

ブラザーフッド

ブラザーフッド
Tae Guk Gi
2004年 韓国 148分
監督:カン・ジェギュ

1950年。朝鮮戦争が勃発し、靴磨きのジンテと高校生のジンソクのイ兄弟はソウルから避難する途中、陸軍に強制徴募されて前線に送られる。兄のジンテは弟の除隊を実現させるために英雄になろうと考えて危険な作戦に志願し、そうしているうちに軍隊への適性を示すようになり、前線が北へと移るにつれて反共原理にも呑み込まれる。一方、あくまでも個人であり続ける弟は兄の行動に反発し、共産勢力の反攻と同時に兄弟の仲は重大な局面を迎え、部隊再編成のために立ち寄ったソウルでは決定的な悲劇が起こり、再編成された部隊の大隊長が状況に追い討ちをかけるので、結果として兄は南を憎んで北へ転向し、弟は兄を取り戻すために戦場を越える。
朝鮮戦争を最初から終わりまで、ひととおりやるという明確な目的を備えており、その目的に対して忠実に、手間を惜しまずに真面目に作られた作品である。映像は厚みと躍動感を備え、冒頭、50年代のソウルからすでに引き込まれる。戦闘場面はかなりの迫力があり、絵はクールである。塹壕戦、夜襲、市街戦とバリエーションが豊富で、登場する車両、兵器類にもこだわりが見える(コルセアのCGがちょっとしょぼいが)。平野を埋め尽くして突撃してくる人民解放軍は大迫力であった(銅鑼を鳴らしてほしかったが)。兄弟関係が果てしなく煮詰まっていくプロットは朝鮮戦争の性格を的確に表わしており、ダイアログは適度に抑制されて冗長を避け、キャラクターのコストパフォーマンスは優れている。殴り合いの場面が全体に多い、という印象は否めないものの、情緒的な場面はどこでも比較的短めに押さえられ、愁嘆場に時間をかけるような愚は犯していない。立派な映画であった。


Tetsuya Sato