2013年10月25日金曜日

スプライス

スプライス
Splice
2009年 カナダ/フランス/アメリカ 104分
監督:ヴィンチェンゾ・ナタリ

製薬会社の研究所で働く生化学者のクライブ・ニコリとエリサ・カストは遺伝子結合によって新種の生物を開発し、会社はその生物から医薬品に転用できるプロテインの抽出を要求するが、好奇心によって遺伝子の結合をやめられないエリサ・カストは実験生物に人間の遺伝子を加えて胚に埋め込み、その結果として人工の子宮からさらに新種の生物が現われ、エリサ・カストはクライブ・ニコリの要求を蹴って処分を拒み、倫理に反する実験なのでひとには言えないままこっそりと生物の生長を見守っていると、これが見る見るうちに成長して、ついに実験室では飼えなくなって廃屋となった農場の納屋に移し、生物は少女のような外見を備え、知性を発揮して自我を主張するようになり、すると母親から理不尽な圧力を受けて育てられたエリサ・カストはこの実験体に対して母親のような理不尽な圧力を加えるようになり、実験生物の心はクライブ・ニコリのほうへなびき、エリサ・カストはいよいよ実験体に対して残酷にふるまい、一方クライブ・ニコリのほうは実験体になにやら怪しい感情を抱き、とうとう交合におよんだところをエリサ・カストに目撃され、これはもう、どちらも善悪の区別がつかなくなっているようなので実験体を始末しようという話になり、納屋を訪れてみると当の実験体は死にかけていて、納屋の裏にさびしく埋葬される、というところで終わっていたらよかったような気がするのだが、そいうことにはならずに変異を遂げた実験体が地面を割って現われて大暴れする。
クライブ・ニコリがエイドリアン・ブロディ、エリサ・カストがサラ・ポーリー。人物造形にひねりがあり、脚本と演出がよくまとまっているので、単なるマッドサイエンティストものやモンスターものに終わっていない。登場する人工生物がよくできていた。 

Tetsuya Sato