2013年8月19日月曜日

チョコレート

チョコレート
Monster's Ball
2001年 アメリカ/カナダ 113分
監督:マーク・フォースター

ハンクとサニーの親子は南部の州立刑務所で看守をしている。ハンクの父親バックも昔は看守をしていたらしい。男ばかりの三人所帯で、家長はまだバックということになっているらしい。バックはどうやら人種津差別主義者で、サニーを訪ねてきた黒人のこどもが地所をとおるのを見て、ハンクに追い払うように言いつける。ハンクは銃を空に向けて撃ってこどもたちを追い払うのだ。翌朝、こどもたちの父親が文句を言いにくるけれど、ハンクにはまるで聞く耳がない。
ハンクとサニーは黒人の死刑囚の死刑の執行に立ち会うことになっていた。サニーは軟弱者ということになっていて、父親の受けがあまりよくない。仕事にも不備があるようだ。死刑囚の女房レティシアは美人だったが、面会を11年も続けてきたことで疲れていた。10歳くらいの息子タイレルは肥満症で、目を放すと甘い物を口に入れている。死刑の当日、親子は一日テレビを見ていた。死刑の直前、サニーは緊張に耐えられなくなって任務を放棄し、激怒したハンクは息子を殴る。
サニーはハンクを愛していたが、ハンクはサニーを愛していなかった。ではレティシアはいったい亭主を愛していたのか。タイレルのことはどう考えていたのか。サニーは自殺し、タイレルは雨の日に交通事故で死に、ハンクは自分がよい父親でなかったことを知り、レティシアは自分はよい母親であったと繰り返す。そして二人はいたって不器用に歩み寄り、不器用に愛を交わすのであった。
見ていて劇中での人死にが多すぎるという感じもしたが、登場人物が受けている抑圧が強すぎて、たぶん人でも死なないと前へ進めないのであろう。演出は節度があって、好感が持てた。ビリー・ボブ・ソーントン、ハル・ベリーともに魅力的であった。マーク・フォースターはこういう映画のほうが向いている。



Tetsuya Sato