2013年6月22日土曜日

チキンとプラム あるバイオリン弾き、最後の夢

チキンとプラム あるバイオリン弾き、最後の夢
Poulet aux prunes
2011年 フランス/ドイツ/ベルギー 124分

テヘランに暮らすナセル・アリは著名なバイオリニストであったがバイオリンが壊れたことで音を失い、替わりのバイオリンを求めてみても失意の底から這いあがることができないので死を決意して八日目に死亡、映画はナセル・アリが死にいたるまでの八日間を描きながら過去、未来へと自由に時間を動いて登場人物の細部をあばき、なぜそんなことができるのかというと語り手が死神アズラエルだからなのであった。
マチュー・アマルリックがナセル・アリを熱演している。監督は『ペルセポリス』のマルジャン・サトラピ。大胆な色彩設計とアニメーションを織り込んだファンタジックな絵が魅力的で、ときとしてコミカルでときとして哀しみに満ちた語り口が実に豊かで美しい。正直なところ、見終わって声が震えるほど感動した。 




Tetsuya Sato