2013年6月1日土曜日

アンダルシア 女神の報復

アンダルシア 女神の報復
2011年 日本 125分
監督:西谷弘

フランスとスペインのあいだにある小国のホテルの一室でいかにも要領を得ない様子の女がいかにも要領を得ないことをしていると、その部屋には死体が転がっていて、その死体は警視総監の息子の死体で、そういうことができるとは思えないけど、だから警視庁はインタポールに出向中の日本人の刑事を送り込んできて、その刑事が部屋の様子を見てこれは物盗りのしわざだと決めつけているとパリから日本の外交官が駆けつけてきて、それは違うといったようなことを言って要領を得ない女をバルセロナの日本領事館に保護するので、刑事も女を追ってバルセロナへ現われ、何者かが要領を得ない女を狙い、いろいろと要領を得ないことがあったあと、女は勤め先の銀行が国際的なマネーロンダリングに関与していることを認めて大きな取引がアンダルシアでおこなわれると告白するので、刑事と外交官は要領を得ない女と一緒になぜかタルゴ列車に乗り込んでアンダルシアに向かい、そこでも要領を得ないことがいろいろとあって、要領を得ない女が雪の中でごそごそと穴を掘っていると、そこへ刑事と死んだはずの外交官が現われて、いまひとつ要領を得ない女の正体があきらかになる。
『アマルフィ』の続編。要領を得ない脚本は状況に対する集中力を欠き、登場人物に無用の造形を与えることに気を取られている。スペイン・ロケは前作と同様、魅力を欠き、仮に見たまんまであったとしてもバルセロナは国道246沿いのどこかに見える。織田裕二はキャメルのコートが似合っていない。黒木メイサは大根である。おまけにどさくさにまぎれて織田裕二の服でゲロを拭いていた。伊藤英明のぼさぼさ髪に何か意味があったのか。全体にじめじめとしているだけで、似たようなシチュエーションを扱っていても『ザ・バンク 堕ちた巨像』のようなダイナミズムはかけらもない。



Tetsuya Sato