2013年5月20日月曜日

サイドウェイ

サイドウェイ
Sideways
2004年 アメリカ 123分
監督:アレクサンダー・ペイン

サンディエゴに住む離婚歴のある英語教師でエスプレッソを飲むワイン通でニューヨークタイムズの読者で古ぼけたサーブに乗っている作家志望で太っていて禿げていて、という具合にあきれるほどたくさんの記号をぶら下げた中年男マイルズ(ポール・ジアマッティ)が大学時代のルームメイトで俳優でセックス狂いで結婚を一週間後に控えた中年男ジャックと一緒にカリフォルニア一帯のワイナリーを歩きまわる。
ワインの蘊蓄に傾いたコメディかと思っていたが、そういう思い込みはやはり禁物であって、人生行路を見失った中年男がひたすらに身の不運を嘆き続けるという話なのである。主役の二人はよい演技をしているし、ところどころ笑えるし、風光明媚だし、ワインもおいしそうに見えるし、ワイナリーめぐりをしてみたいという気持ちにもなるけれど、訳知り顔で人間の内面の浅さをあざ笑うこの監督の悪趣味は見ていてそれほど愉快ではない。やればいいというものではないと思う。ちなみに人生の居心地の悪さ、未練たらたらな様子、あれやこれやがあって最後には結婚式が控えているところは同じ監督の『アバウト・シュミット』と同じであった。




Tetsuya Sato