2013年3月1日金曜日

シャーロック・ホームズの冒険

シャーロック・ホームズの冒険
The Private Life of Sherlock Holmes
1970年 イギリス 125分
監督:ビリー・ワイルダー

ある晩、シャーロック・ホームズが退屈しているとずぶ濡れの女性が下宿に運ばれてきて、名前をたずねると記憶を失っていて、手にはベーカー街の住所だけを握っていて、額には何かで殴られたあとがあり、どうやら命を狙われたらしい、ということでホームズとワトソンがこの女性を部屋に引き取ることになり、翌朝、ホームズが女性の手から手がかりを得て女性の荷物を発見し、女性の名前がガブリエル・ヴァラドンであることをつきとめ、記憶を取り戻したヴァラドン夫人はホームズに夫を探してくれと頼むので、ヴァラドン夫人の夫にかかわる住所を訪ね、そこでスコットランドにつながる手がかりを見つけ、三人でスコットランドへ出かけていってホテルに部屋を取るとワトソンが窓の外に見えるネス湖を進む怪物らしきものを目撃する。
で、ホームズの周囲ではマイクロフト・ホームズがなにやら国家安全保障にかかわる画策を進め、修道服をまとった怪しい一団が出没し、ヴァラドン夫人も怪しい行動を取るのである。
ビリー・ワイルダーとI.A.L.ダイアモンドのオリジナルの脚本によるシャーロック・ホームズもので、コリン・ブレイクリー扮するワトソンがもっぱらコメディ・リリーフにまわり、ダイアログの味付けもいかにもワイルダーという感じにしゃれていて、それぞれの場面における手抜かりのない語り口は見ていて非常に心地よい。ロバート・スティーブンスのシャーロック・ホームズはなんとなく俗世から隔絶しているような気配があって、これはこれでそれらしい。クリストファー・リーのマイクロフトは風格がある。ヴィクトリア朝の背景描写は終盤に登場するヴィクトリア女王本人の造形も含めてたいへん緻密で、描写の密度という点で『あなただけ今晩は』のカサノバ街を思い出した。四時間あったという完全版をできることなら見てみたい。 





Tetsuya Sato