2013年2月5日火曜日

スカーフェイス

スカーフェイス
Scarface
1983年 アメリカ 170分
監督:ブライアン・デ・パルマ

1980年のフロリダ。キューバからやってきたトニー・モンタナは地元のギャング、フランクの子分となり、度胸を示してその片腕となるとボリビアの麻薬王ソーサとの商談を独断でまとめ、その結果をフランクからなじられると独立を決意し、フランクから攻撃を受けるとフランクを殺し、独自の組織を作り出して全米にコカインを供給するが、やがて脱税の罪で追い詰められ、それが発端でボリビアのソーサとの関係も悪化し、最愛の妹を奪ったという理由で兄弟分のマニー・リベラを殺し、ソーサの私設軍隊と戦って蜂の巣にされて死んでしまう。
1932年の『暗黒街の顔役』のプロットにオリヴァー・ストーンが大幅な肉付けをおこない、その結果、上映時間が倍になっている。もともとがかなり盛りだくさんの内容なので、そこにモダンな文脈で説明を加えていくと、3時間弱というのはやむを得ないのかもしれない。アル・パチーノは熱演しているが、この人物造形には疑問を感じる。自分の言葉に勝手に興奮して前後の見境のなくなるような人間が、いったいギャングのボスとなってボリビアの狡猾な地主(しかもイギリスで教育を受けている)と対等にやりあえるものであろうか。トニー・モンタナの成功は、トニー・モンタナの行動と今一つ結びつかないところが多いのである。チェーンソー、グレネードランチャーまで登場する暴力シーンのテンションは高いが、いくつかのサスペンス・シーン(たとえばクラブでのトニー襲撃)は冗長に感じた。空間や時間などの距離を説明するためにカメラは頻繁にパンしてまた戻ってくるが、これもいささか長く感じた。ただ肉付けしたから長くなった、というわけではなさそうである。





Tetsuya Sato