2013年2月18日月曜日

お熱いのがお好き

お熱いのがお好き
Some Like It Hot
1959年 アメリカ 121分
監督:ビリー・ワイルダー

禁酒法時代のシカゴ。二人の楽士が聖バレンタインデーの虐殺を目撃する。ギャングに消されることを恐れた二人はすでにもぐりの酒場での仕事を失い、なけなしの金もドッグレースに費やしてなくしていたので、女装して女ばかりの楽団へもぐり込んでそのままフロリダへ逃走する。フロリダに到着した二人のうちの一方は楽団の歌姫を攻略するために夜はシェル石油の御曹司に変身し、もう一方はどこかの金持ちの爺さんに粉をかけられて貞操の危機にさらされるが、そこへギャングの一行が会合のためにやってくる。
冒頭、いきなり始めるカーチェイスと銃撃戦から警察による酒場の手入れ、さらに聖バレンタインデーの虐殺とギャング映画的な見せ場を連ね、楽士二人が女装すると、今度は一転してほとんどパロディのような恋愛映画にもぐり込んでいく。改めて見ると、やや古びた印象があるものの、それぞれの場面は抜かりなく演出されていて、結果としては見どころが多い。楽団の歌姫シュガーに扮したマリリン・モンローは美しいものの、どこか荒んだ気配があって、私生活での結果がわかっているだけに見ているこちらを(いまだに)心配させてしまう。ワイルダー映画のモンローはある意味、きわめてモンロー的なモンローなので、そうした仮面のぶれがかえってよく見えるのかもしれない。


Tetsuya Sato