2013年1月31日木曜日

ジャッカルの日

ジャッカルの日
The Day of the Jackal
1973年 フランス/イギリス 142分
監督:フレッド・ジンネマン

生涯ベスト1をあげろと言われるとたぶん何本か、あるいは何十本かがあがることになるだろうが、あえて一本選べと言われた場合、おそらく『ジャッカルの日』になるのではないだろうか。
フォーサイスの原作が話題になったのはわたしが中学校一年の時である。映画の公開も同時期で、学研の「中学一年」が下手糞なマンガを載せてストーリーを紹介していたのを覚えている。そして早速見に行って、夢中になって帰ってきた。エドワード・フォックス扮するジャッカルがとにかくかっこいいと思ったのである。真似をしてアスコット・タイなどを首にまいてみたりしたものだ。以来、何度となく繰り返して見ているが、やはり飽きない。最初の印象が強いのもあるだろうが、それだけでは決してない。
ジンネマンの演出は音楽的で緩急がすこぶる心地よく、映像はストイックで余計な物が排除されているため、一場面ごとに印象が深い。取り分け好きなのは、フランスへ入ったジャッカルが、すでに警察の追手がかかっていることを知りながらパリへの道を選ぶ場面である。道が絵に描いたような二股になっていて真ん中に標識があり、一方の矢印にパリ、もう一方にイタリアと書いてある。ジャッカルはこの標識の前にオープンのアルファロメオを停めて、一瞬の躊躇の後に幌を上げる。あんな都合のいい標識があるわけないという気もするが、それが演出なのである。もう一つ好きな場面があって、それはパリに潜入した後、ゲイの男を殺す場面である。犠牲者は台所の奥へ退き(壁で見えなくなる)、それをジャッカルがゆっくりと追っていく。この時、カメラがジャッカルの歩く速さに合わせて静かに引いていくのである。解放記念日の混雑は実際はあんなものではないとか、あるいはサブマシンガンの連射で吹っ飛ばされたジャッカルの体が壁に叩きつけられると壁の方がたわむとか、そんなところもあるけれど、やっぱり何回見てもかっこいい。エドワード・フォックスもかっこいいが、映画自体がかっこいいのである。
ジャッカルの日 【ベスト・ライブラリー 1500円:アクション映画特集】 [DVD]

Tetsuya Sato