2013年1月26日土曜日

ハート・アタッカー

ハート・アタッカー
Battle for Haditha
2007年 イギリス 97分
監督:ニック・ブルームフィールド

2005年11月19日の早朝、イラクの都市ハディサで海兵隊の分隊がパトロールをしていると道にしかけられた爆弾が爆発して兵士ひとりが死亡、ふたりが負傷し、海兵隊の兵士たちは犯人の捜索にかかって周辺の民家に次々と押し入り、誰何する前にまず発砲し、死角へ踏み込む前には必ず手榴弾を投げ込むので20人を超える民間人が犠牲になる。
『ハート・ロッカー』にあやかったようなどうしようもない邦題がついているが、いわゆるハディサの虐殺の映画化で、ドキュメンタリー調の演出は骨が太く、ディテールも非常によくできていて、映画としての質も高い。ヨルダンでロケをしたハディサもよく雰囲気が出ており、イラク中産階級の描写も興味深い。こちらがあまり想像していなかったような場面も登場する。たとえばアルカイーダとおぼしきテロリストの下請をしているイラク人がアルカイーダから爆弾を受け取り、それを白昼堂々つるはしで路面をやぶって道にしかけていると、それが近隣の家々の庭先や窓から見えるので、気がついた住民がうちの前の道にテロリストが爆弾をしかけていると騒ぐのである。そしてどうしたらいいかと相談し、テロに屈してはならないので今日のパーティは予定どおりに決行するという話になるのである。きわめてふつうのひとたちで、だからというわけではないが、後半の虐殺の場面のむごたらしさは半端ではない。





Tetsuya Sato