2013年1月14日月曜日

ステイク・ランド 戦いの旅路

ステイク・ランド 戦いの旅路
Stake Land
2010年 アメリカ 98分
監督:ジム・マイクル

吸血鬼(雰囲気は吸血するゾンビに近い)が跋扈する世界で両親を失った少年マーティンはミスターとだけ名乗る男に助けられ、吸血鬼を狩りながら北を目指し、間もなく旅に尼僧が合流し、吸血鬼を使って世界の浄化をたくらむテロリスト同然の狂信者たち(ヘリコプターから吸血鬼を投下する)が現われ、狂信者たちの目をくぐって北への旅を続け、さらに妊婦が合流し、兵士が加わり、車を捨てて徒歩で山を越え、カナダとの国境へ近づいていく。
凍てつく冬を背景にしたロケ効果が抜群で、撮影が非常に美しい。出演者は抑制された演技を確実にこなし、いずれもきわめて印象が強い(尼僧役でケリー・マクギリス)。演出は淡々としているが、無駄がなく、視点は少年に集中し、家族の喪失と家族の再構成を経る成長譚として緊密に構成されている。この種の映画としては画期的と言えるほど背景が確実に用意され、細部にわたって目が行き届いているのがなんと言っても好ましい。力作である。 



Tetsuya Sato