2012年12月23日日曜日

コモド・リターンズ

コモド・リターンズ
The Curse of The Komodo
2003年 アメリカ 92分
監督:ジェイ・アンドリュース

海軍のとある高級将校がその昔、恐竜が出てくる映画を見て、これは殺人兵器に使えると思ったのだそうである。そういう間抜けな話でも時間をかけて吹いてまわると予算がつくのか、ホノルルから500キロほど離れた島で実験が始まって、さすがに恐竜を使うことはあきらめて、かわりに巨大なコモドオオトカゲを作って腹を空かせたままにしておくというようなことをしていると、例によってどこかで失敗があって島に送り込まれた間抜けな特殊部隊があっという間に踏みつぶされてしまう。怒った高級将校が実験に携わった博士を呼び、島へ行って証拠を消してこいと命令すると博士とその助手は自分たちは騙された、食料増産計画に協力しただけのつもりだった、などと世にもしらじらしい抗議をし、その博士の娘というのはまるっきりのアホウであったが、博士の娘を演じている女優がそうだから、ということではなくて、どちらかと言えば作り手がそう決めているからであって、そういうわけでもっぱらトップレスを披露することを目的に登場するこの博士の娘は島にある博士の屋敷で二人の男と暮らしていて、その屋敷というのは電気を流した柵で囲われていてコモドオオトカゲが入ってこれないようにしてあるものの、柵に電力を供給している発電機というのが縁日の屋台で使われているような代物なのでいつ止まっても不思議ではないし、しかもジープのエンジンも調子が悪い。というような島に博士とその助手が到着した頃、ホノルルのカジノでは強盗殺人事件が発生し、現場から逃走した三人の男女がヘリコプターに乗り込んでオアフ島から脱出し、そうすると折からの嵐に巻き込まれて問題の島に不時着する。
つまりまったく無用のプロットがいくつも用意されているわけで、これは出来の悪い脚本の見本のようであるなあ、などと感心していると、そこへたいそう出来の悪いコモドオオトカゲがよたよたと現われてこの連中に襲いかかるのである。1999年の、いちおう真面目に作られていた『コモド』とはおそらくなんの関係もない。




Tetsuya Sato