2012年12月12日水曜日

長い船団

長い船団
The Long Ships
1964年 アメリカ・イギリス・ユーゴ 138分
監督:ジャック・カーディフ

リチャード・ウィドマーク扮するヴァイキングのロルフ、といっても破産寸前の船大工の長男という設定らしいのだが、これが黄金の鐘に関する根拠の怪しい話をはるかビザンチンから持ち帰って父親に船と乗員を無心し、船がないとなるとハラルド王の船を盗み、乗員は噂で釣って拾い集め、あるいは王の船の乗員を漕ぎ手座に鎖でつなぎ、王に追われた場合に備えて王女をさらって人質にし(もちろん追われる)、虚言をあやつり、仲間をだまし、必要な場合にはオーディンもだまし、目的のためならば手段を選ばないという態度で旅立っていく。実際に黄金の鐘を捜しにいく、というよりも、何かペテンへの衝動に突き動かされて、という気配が濃厚で、だからラス・タンブリン扮する弟も兄の主張については信じたいと願っているような状態なのである。そのロルフと対立するのがシドニー・ポワチエ扮するムーア人の王アスナーで、こちらはこちらで黄金の鐘に取り憑かれていて、本当に発見した場合に備えて輸送用の船の模型などを作っていて、女房からもほとんど愛想を尽かされている。それが海岸に流されてきたロルフの一行を発見し、いったんは戦闘がおこなわれるものの、ロルフは勝ち目がないものと見て降伏し、そこから先は運と舌先に委ねることにする。
リチャード・ウィドマークがインテリ臭くてシニカルで無責任、というあまりヴァイキングらしくない人物を力まずに演じていて面白い。全体に陽気な雰囲気で人命は軽い。そしてもちろんヴァイキングはハレムを見ると歓声を上げて突撃する。原題どおりにかなり大きなヴァイキング船が(わざわざ複数形にするほどではないが)登場するほか、ラテン帆の船なども登場する。




Tetsuya Sato