2012年11月9日金曜日

ワールド・オブ・ライズ

ワールド・オブ・ライズ
Body of Lies
2008年 アメリカ 128分
監督:リドリー・スコット

CIAの現地エージェントがテロ組織の指導者アル・サリームの所在を追ってイラクとヨルダンを動き回り、ヨルダンの諜報機関に嫌われてアメリカに戻り、ドバイを舞台にテロ組織をペテンにかける芝居を打ち、その作戦が事実上の失敗に終わるとヨルダンの諜報機関にはめられてテロ組織を釣り出すエサに使われ、それはもうひどい目に遭って諜報活動自体に愛想を尽かす。
CIAの、有能は有能だけど考えていることがあまりボーイスカウトと変わらないエージェントがディカプリオ、その上司で中東を忌み嫌う中近東担当主任がラッセル・クロウ、ヨルダン諜報機関の長がマーク・ストロング。
ディカプリオとラッセル・クロウをアメリカ的な独りよがりと想像力の乏しさの両極に置き、その中間に実用的な人間としてマーク・ストロングを配置することでいちおうの批評性のようなものが見えはするものの、どう考えても正体はリドリー・スコットの「現代アラブ」フェティッシュ映画であり、したがってプロットも見かけ以上のものではなく、ディカプリオにしてもラッセル・クロウにしても魅力と言えるような魅力はない。ということできわめて視覚的に構築された体系は『ブラックホーク・ダウン』とあまり変わりがないものの、やはりこの映像はすごいのである。




Tetsuya Sato