2012年11月2日金曜日

ナイト&デイ

ナイト&デイ
Knight and Day
2008年 アメリカ 109分
監督:ジェームズ・マンゴールド

ボストンで自動車修理業を営むジューン・ヘイヴンスは部品集めのためにカンザスを訪れ、ボストンへの帰路、空港でロイ・ミラーと名乗る男と二度ぶつかり、飛行機でも一緒になり、ロイ・ミラーに関心を抱いたジューン・ヘイヴンスはトイレに入って化粧を直し、ロイ・ミラー攻略を決意するが、そのロイ・ミラーはジューン・ヘイヴンスがトイレに入っているあいだに乗員、乗客と死闘を演じ、全員を殺害するとジューン・ヘイヴンスと談笑を交わしてからコクピットに入り、旅客機を不時着させる。ジューン・ヘイヴンスは不時着の直後に意識を失い、気がつくと自宅のベッドで朝を迎え、すべては夢であったかと疑うが、すぐかたわらにはロイ・ミラーのメモが残され、しかも台所には朝食の用意ができている。ということでジューン・ヘイヴンスはロイ・ミラーの危機に巻き込まれ、ジューン・ヘイヴンスに危機が訪れるとロイ・ミラーが白馬にまたがる騎士のように救出に現われるという構図ができあがり、騒ぐジューン・ヘイヴンスをロイ・ミラーはしばしば眠らせてしまうので、ジューン・ヘイヴンスは朦朧としたままカリブ海へ運ばれ、オーストリアへ運ばれ、朦朧とした意識の合間で目を開くとロイ・ミラーがジューン・ヘイヴンスを守るために敵と戦っているのである。
いわゆるアクション映画のように見えなくもないが、いわゆるアクションはあくまでも添え物であり、しかも視点はおもにヒロインに固着しているので、ヒロインが朦朧としているところでは危険の存在のみが提示され、本来ならそこから派生しているはずのアクションの文脈が明示されない。それにもかかわらずアクションをおおまじめにやることで、言わば見えない細部を観客に想起させ、その一方、主軸はあくまでもロマンスであると主張する構造はきわめて洗練されている。無敵のボーイスカウトといった感じのトム・クルーズがなかなかにいい。そこに対置されるキャメロン・ディアスのキャラクターも陽性で行動的なので、動きがとまる瞬間がない。というわけで、たいそう気に入ったような次第である。





Tetsuya Sato