2012年11月19日月曜日

テイラー・オブ・パナマ

テイラー・オブ・パナマ
The Tailor of Panama
2001年 アメリカ/アイルランド 109分
監督:ジョン・ブアマン

スキャンダルを起こしてパナマに左遷されたMI6の工作員(ピアース・ブロスナン)が、地元権力階級御用達の仕立屋(ジェフリー・ラッシュ)を説得と強要で抱き込み、ありもしない陰謀を出現させる。どうやらパナマの大統領は日本や中国にパナマ運河を売り飛ばそうとしているといったような陰謀である。そこで英国情報部は話をアメリカ国防省に売り込み、アメリカはうかつに話に乗って緊急展開部隊を待機させ、現地には活動資金を提供する。展開の大筋に沿ってピアース・ブロスナンは007まがいの女たらしぶりを発揮し、下劣な工作員ぶりも発揮して仕立屋を恫喝し続ける。隠された過去を持ち、虚言癖を備えた仕立屋はそのせいで混乱し、仕立屋の女房(ジェイミー・リー・カーティス)は亭主の混乱ぶりを見て眉をひそめる。ジェイミー・リー・カーティスの女房がほんとうに怖い。
この3人を主軸に大統領を筆頭とするパナマの権力集団、ノリエガ時代の反政府勢力の闘士、英国外務省などが登場し、その書き込みがまたがっちりとしていて手抜かりがなく、最初から最後までまったく気が抜けない。謀略サスペンスがすごいから気が抜けないのではなく、語り手ジョン・ブアマンが物語っていく手つきがあまりにも巧みで、しかも心地よいので気が抜けないのである。目を見開いて息を止めて最後まで見つめ、満足の吐息とともに見終わった。 


Tetsuya Sato