2012年11月16日金曜日

エクソシスト ビギニング

エクソシスト ビギニング
Exorcist: The Beginning
2004年 アメリカ 114分
監督:レニー・ハーリン

『エクソシスト』の前日談。 1949年のカイロ。聖職を辞して考古学者となっているメリン神父の前に収集家の秘書と称する人物が現われ、ケニアで発見された五世紀の教会の発掘作業に参加するように要請されるが、その教会というのは実は悪霊パズズが封印されていて、事実を知っている村人たちは教会に入るのを拒み、発掘現場の周辺ではハイエナが昼日中からうろつきまわり、宿営地でも怪事が勃発する。
話はおおむね信仰を失ったメリン神父の回心を中心に展開し、その範囲ではおおむねよくまとめられている。特にヴィットリオ・ストラーロの撮影がきれいで、土臭い空気と不穏な気配を伝えている。いくらか若いメリン神父を演じたステラン・スカルスガルドもよい雰囲気を出していたと思う。とはいえ、察するにサスペンスを付加するためであろうが、最終的に悪魔祓いへと通じる過程での登場人物の位置づけの唐突さには問題があり、構成上の大きな疑問点を生み出している。この部分をもっと正攻法で消化してシンプルにまとめていればもっとよくなったのではないだろうか。レニー・ハーリンの演出は例によってがさつさが目立つが、過去の作品に比べると腰を据えているほうであろう。 





Tetsuya Sato