2012年10月9日火曜日

アバター

アバター
Avatar
2009年 アメリカ/イギリス 162分
監督:ジェイムズ・キャメロン

パンドラという衛星の地下にとてつもなく高価な鉱物が見つかり、ところがその上には例によって頭の固い先住民が住んでいたので、人類側の企業は先住民を立ち退かせるために暴力を使うことにするが、それに先立って先住民のなかに送り込んでいた人類側のアバターが先住民と一緒になって人類と戦う。
デジタル3Dという発展途上の技術を使って、観客に格別の疲れも感じさせずに二時間半以上の上映時間を持たせているのはおそらくたいへんなものだと思う。映画自体は徹底的に見世物としてデザインされ、登場人物はステレオタイプでプロットは寒い。クライマックスの人類対ナヴィの戦いのあまりと言えばあまりな軍事的ど素人ぶりは、何が待ち構えているのかわからない危険な場所に部隊を武装解除して前進させるということを話の都合のためにやってしまう監督なので、驚くほどのことではない、と言うべきであろう。人類側の各種装備、拠点などの量感はなかなかに楽しめるものとなっているが、後半、自然と調和して暮らすナヴィに焦点が移ると、なんというのか、どこまでいってもFINAL FANTASYのムービーみたい、というのが素朴な感想で、キャメロンがだめなのか、スクエアが偉いのか、あるいはスクエアもだめなのか、ファンタジックな世界とはつまるところこのあたりに限界が設定されているのか、わたしにはまったくわからないし、わかるつもりもないけれど、そのゲームのムービーのようなものを延々と見せられることになり、そしてゲームのムービーとは映画から後退したものであるとわたしは認識しているので、それを映画の前進であるかのように眺めるのは難しい。ところでパワーローダーの操作系がデータグローブというのは、やっぱりどこか恥ずかしいような気がしてならない(あのナイフも冗談みたいだし)。 




Tetsuya Sato