2012年10月29日月曜日

特攻大作戦

特攻大作戦
The Dirty Dozen
1967年 アメリカ・イギリス 145分
監督:ロバート・アルドリッチ

1944年のロンドン。アメリカ陸軍のライズマン少佐(リー・マーヴィン)はあまり規律を守らないということで問題視されて転属先すら見つけられない有様になっていたが、そこへウォーデン将軍が現われて秘密作戦に志願するようにと説得する。12名の凶悪犯を再訓練してDデイ前夜に敵後方に夜間降下し、敵の将校を可能なかぎりいっぱい殺すというのがその秘密作戦で、ライズマン少佐は作戦立案者の正気を疑うが、もちろん選択肢は与えられていない。
さて、少佐はその12名(テリー・サバラス、ジョン・カサヴェテス、ドナルド・サザーランド、チャールズ・ブロンソンなどが含まれている)を引き取って訓練らしきことをおこなうが、どうやらその内容は高度な秘密ということになっていて、実は観客の目にもほとんど触れることがない。そういう訓練がだらだらと半年も続いて、ライズマン少佐に敵対的なブリード大佐(ロバート・ライアン、ちなみにライズマン少佐以下を暖かく見守っているウォーデン将軍がアーネスト・ボーグナイン)を演習でやっつけるだけのために貴重な上映時間が消費され、やっと作戦開始ということになってドイツ占領下のフランスへと降下していく。高級将校専用のシャトーがあって、そこを襲撃するのである。
まずライズマン少佐とチャールズ・ブロンソン扮するもう一人がドイツ軍将校の制服で中へ入り、そのもう一人はドイツ語が話せるけれど、実は読み書きができなかったという裏があって、目の前に宿帳を出されたりするとサスペンスはいやおうもなく盛り上がる。それでも作戦は着々と進行し、バルコニーからロープが投げ落とされ、アメリカ兵がロープを使って中へ入る。すべては順調なように見えたが、テリー・サバラス扮するマゴットが室内で娼婦と遭遇したことで、すべては崩壊してしまうのである。
マゴットは純潔を誇る神の道具で、娼婦と見れば殺したくなるという習性があった(なんでそんなやつを連れていくのか)。マゴットは背後から近づいて娼婦の口を押さえ、ナイフを突きつけて叫んでみろと声をかけ、その状態でわざわざ廊下へ進んでいく。娼婦は助けを求めて叫びを上げるが、ドイツ軍の将校たちは上品なひとばかりなので、あれは愛の叫びだと勘違いして誰一人として駆けつけようとしない。マゴットは娼婦を刺し殺し、何事かと近づいた仲間のアメリカ兵に向かって発砲する。銃声が轟き、上や下への大騒ぎになり、ドイツ軍将校たちは空襲警報も鳴っていないのになぜか地下の防空壕に向かってひた走る(いちおうは戦闘員であろうが)。そこへライズマン少佐が駆け寄って防空壕の扉を外から閉めてしまうので中のひとたちは出口を失い、あとは報せを聞いて駆けつけたドイツ軍との交戦があり、防空壕の爆破があり、突っ込みどころも満載で、でも、どこまでいっても軍事作戦に見えてこないのは、やはりロバート・アルドリッチという監督の好みの問題なのであろうか。考えてみると『攻撃』も今一つ軍事作戦には見えなかったし、変な戦車が登場したし、変な兵器が平然と登場するという傾向はずっとあとの『合衆国最後の日』まできても変わっていない。あまり関心がないのであろう。





Tetsuya Sato