2012年10月1日月曜日

エボリューション

エボリューション
Evolution
2001年 アメリカ 101分
監督:アイヴァン・ライトマン

アリゾナの峡谷に隕石が落下し、落下によってできたクレーターの底では隕石に付着してきた微生物が猛烈な速度で進化を始める。事実に気がついた地元短大の生物教師と地学教師は一攫千金を狙って研究の独占をはかるが、諸般の事情で軍とCDCが現場を確保して二人を締め出す。二人はひどく憤るが、その間にもクレーターの底から網目のような洞窟を伝って進化した怪生物が町に出現するようになっていた、といういまどき嬉しいB級SFな話をなぜかアイヴァン・ライトマンが監督して、無理矢理に『ゴーストバスターズ』のような映画に仕上げようとしている。それで成功していればもちろん何も文句はないわけだけど、ものの見事に失敗しているわけである。まず、デヴィッド・ドゥカヴニー、ジュリアン・ムーアはじめキャスティングがまるでコメディ向きではない。ドゥカヴニー扮する生物学者が昔の恨みについて語り始めるとヴェンデッタでも始まるのではないかと思えるような重さがある。脚本も全体にまずくて、主人公二人組が交わすのはカビの生えたような白黒人種ギャグだし、話の展開を主要登場人物で押さえ込むために不自然なほどの単純化(警察はどこへ行った?)がおこなわれている。余計な掛け合い漫才や余計な歌を挿入するためである。
脚本のドン・ジャコビーは『スペース・バンパイア』、『スペース・インベーダー』その他のSF映画を手がけてきた人なので、察するにこの映画ももともとはちゃんとしたSFだったのではあるまいか。だとしたらそっちの方が見たかったと思う。フィル・ティペットの特撮がすごかっただけにとても残念でならない。 




Tetsuya Sato