2012年9月9日日曜日

バーク アンド ヘア

バーク アンド ヘア
Burke and Hare
2010年 イギリス 91分
監督:ジョン・ランディス

1828年、エジンバラは医学の中心地を名乗り、各国から医学生を招きよせてうるおっていたが、医学研究に使える死体は刑死者に限られていて、その数少ない死体をエジンバラ医学界における二大勢力の一方、モンロー博士が条例によって独占すると、残る一方のノックス博士は新鮮な死体を手に入れることができなくなり、エジンバラの貧民ウィリアム・ヘアとウィリアム・バークはノックス博士が死体を高値で引き取ることを耳にして部屋代を払わずに死亡した下宿人をノックス博士のところへ持ち込んで5ポンドで売り、再び下宿人が死亡するとまたノックス博士のところへ持ち込んで金に換え、これは商売になるということで新鮮な死体を得るために死体を製造するようになり、エジンバラの暗黒街は急に金回りのよくなったバークとヘアに目をつけてみかじめを要求し、金を手にしたバークは女優ジニー・ホーキンスに恋心を抱いてジニー・ホーキンスのパトロンとなって女ばかりの『マクベス』に出資し、ヘアは妻ラッキーとともにビジネスの新たな展開を模索し、そうしていると警察のマクリントック大尉が行方不明者とエジンバラ医学界の関係に気づいてノックス博士の身辺を調べ、バークとヘアの犯罪をあばく。
1985年の『贖われた7ポンドの死体』とほぼ同じ素材を扱っているが、こちらはほどよくコメディで、 微妙に純真なバークがサイモン・ペッグ、それなりに冷血なヘアがアンディ・サーキス、トム・ウィルキンソンとティム・カリーがいかにもな「19世紀の医者」を怪演し、クリストファー・リーがワーテルローの古兵の役で顔を出す。
もののわかっている監督がしっかりと演出し、そういう空間で出演者が楽しそうに仕事をしているのは見ていて実に心地よい。時代色は豊かだし、キャラクターも豊かだし、劇中劇の女ばかりの『マクベス』はけったいだし、バグパイプはスイングを始めるし、ということで、これは傑作なのではあるまいか。見終わったあと、にんまりとしていたようなのである。


Tetsuya Sato