2012年9月5日水曜日

スペース・サタン

スペース・サタン
Saturn 3
1980年 アメリカ 89分
監督:スタンリー・ドーネン

なんだかよくわからないけれど未来の地球は深刻な食糧難で、犬まで食べているらしいのである。この地球的な問題を克服するためになぜか土星の衛星でたった二人ばかりが研究していて、それがカーク・ダグラスのアダム少佐とファラ・フォーセットのアレックスなのである。研究と言っても水耕栽培くらいのものでたいしたことをやっているようには見えないし、この宇宙隠居と宇宙ギャルはいちゃいちゃと遊んでばかりで働いている気配がまるでない。で、案の定というべきなのであろう、研究が遅れているということで三人目が送り込まれてくるのだけど、その三人目は出発の直前に殺害されていて、勝手に入れ替わってやってくるのが頭のおかしい ハーヴェイ ・カイテルの大尉なのである。この大尉殿は到着するやいなや、ファラ・フォーセットにあけすけに迫り、もちろんすげなく断られてしまうので面白くない。というわけで連れてきたヘクターとかいうロボットを電波経由で頭につないで、赤ん坊の脳みそで作ったとかいう無垢な電子頭脳にいろいろと吹き込むわけである。察するに妄想に耽ったのであろう、するとヘクターもファラ・フォーセットに懸想して、よくよくこの未来は色ボケであるなあ、などと感心したりしているうちに ハーヴェイ ・カイテルが基地の指揮権を脈絡もなく乗っ取りにかかるので、カーク・ダグラスは恥ずかしげもなく全裸の姿で反撃したりする。そこへヘクターも参戦してきて ハーヴェイ ・カイテルをどこかへ連れ去り、残されたカーク・ダグラスとファラ・フォーセットはヘクターを倒そうと高圧電流や落とし穴を仕掛けるものの、たぶんやる気がなかったからだと思うけれど、失敗に終わって逃げ場を失い、最後にカーク・ダグラスが捨て身の爆弾攻撃でやっつけて、結局ヘクターは何がしたかったのか、もしかしたら色ボケの人間にあきれてなんとか仕事をさせようとしたのかもしれないが、よくわからないまま終わってしまうという、つまりどちらかというとかなり駄目な種類の映画なのである。 
007シリーズ のプロダクション・デザインなどで名高いジョン・バリーの原案ということだけど、当の本人が途中で亡くなってしまった結果、SF映画のことなど夢にも見たことのないスタンリー・ドーネンにいきなりお鉢が回ったのではないかと想像している。残念ながら美術的にも感心すべき点はあまりない。ミニチュアも特殊効果もわびしい水準で、ハーヴェイ・カイテルの怪演ぶりはそれなりにおもしろいものの、『スターウォーズ』の後に製作されたハリウッド・メジャー作品とはとても見えないのである。


スペース・サタン [DVD]
Tetsuya Sato