2012年8月5日日曜日

マダガスカル3

マダガスカル3
Madagascar 3: Europe's Most Wanted
2012年 アメリカ 93分
監督:エリック・ダーネル、コンラッド・ヴァーノン


誕生日を迎えたアレックスはアフリカの地でこのまま老いさらばえることに恐れを感じてニューヨークへ戻ることを考え、マーティ、メルマン、グロリアとともにペンギン一味を頼ってモンテカルロを訪れ、きわめて高度な欺瞞によってカジノにもぐり込んでいるペンギン一味と接触しようと試みるが、騒ぎが起こってその場から逃げ出すはめになり、そこへ動物管理局のデュボア警部がライオンであるという理由だけでおもにアレックスの首をねらって現われ、アレックスとその仲間はペンギン一味の手を借りてカジノから逃げ出してどうにかサーカス列車にもぐり込み、そのサーカスがニューヨークでの公演を予定していると聞いて喜ぶが、サーカスが定員外の動物を認めないと聞いてサーカスを買い取り、サーカスのオーナーとなったアレックスはサーカスのまったくお話にならない演目を見てテコ入れに乗り出し、シルクド・ソレイユそこのけの前衛的な舞台を作り上げて見事に成功させ、その成功によってニューヨークがいよいよ近づいてくるが、任務よりもおのれの欲求に忠実なデュボア警部がどこまでもどこまでも追いかけてくる。デュボア警部のほとんど怪物じみた造形と、声を担当したフランシス・マクドーマンドの悪乗りぶりがすばらしい。
余計なことは一切しない、一秒たりとも無駄にしない、という作り方が非常に好ましい。そしてテンポはひたすらに速く、画面はどこまでもにぎやかで、リズミカルで心地よい。そしてペンギンは例によって狡猾であり、例によっておさるはずるい。擬人化された動物キャラクターのなかでクマだけがリアルな体型を保っていたが、やはりクマとはそのようなものであろう。造形のばらつきがひどく気になった『メリダとおそろしの森』とは対照的である。
ありそうにもないことに、自己愛のかたまりであるキング・ジュリアンは恋に落ちる。モートは開巻間もなく当分は忘れられないようなことをしでかし、モンテカルロのビルの屋上でモーリスが見せる笑いはひたすらに暗い。やっぱりそうだったのか。つまり、キツネザルの一味ももちろん活躍するのである。
3Dを前提にデザインされた映像は見ごたえがあり、その仕上がりはダイナミックで半端ではない。きわめて高いボルテージを備えた傑作である。



Tetsuya Sato