2012年8月23日木曜日

サタンバグ

サタンバグ
The Satan Bug
1965年 アメリカ 114分
監督:ジョン・スタージェス

カリフォルニア州南部の砂漠地帯にある研究所では政府の委託を受けて細菌兵器の開発が進められていたが、金曜日の晩、何者かによって警備主任が殺害され、致死性の高いボツリヌス菌と人類を二か月で滅亡させる恐怖の細菌サタンバグが持ち出される。そこで政府の情報機関は秘密裏に捜査網を敷き、有能な元情報部員を主軸に据えて捜査活動を進めていく、というミステリー仕立てで、原作はアリステア・マクリーン(イアン・スチュアート名義)、製作・監督がジョン・スタージェス、脚本はジェイムズ・クラヴェル、音楽はジェリー・ゴールドスミス、撮影はブルース・サーティスと一流どころがそろっているが、なぜか最後まで盛り上がらない。
まず当局側の陣容がはっきりとしない、犯人の人物像もはっきりとしない、登場人物にことごとく魅力がない、というあたりに問題があるのではあるまいか。犯人が脅迫のために盗んだ細菌を実際に撒き散らして、そのせいでフロリダのフリーウェイからゴルフ場、海岸から洋上に至るまでが死者累々という思い切りのよい描写は迫力があるが、サタンバグが入った三角フラスコを落とすか落とさないかといったところでサスペンスを盛り上げようとするあたりはどこか時代を感じさせる。この手の散布型兵器にしても、それを扱ったテロにしても、やはり切実感がないのであろう。研究所の描写ものんびりとしているし、あのバイオハザード宇宙服はバイザーが簡単に上げ下げできるようでは全然役に立たないと思う。



サタンバグ [VHS]

Tetsuya Sato