2012年7月11日水曜日

シシリーの黒い霧

シシリーの黒い霧
Salvatore Giuliano
1962年 イタリア 124分
監督:フランチェスコ・ロージ


シチリアの村モンテレプレで生まれたサルヴァトーレ・ジュリアーノは第二次大戦中に盗みを働いたことで警察に追われて山に入るとそのまま山賊になり、シチリアの独立運動が起こると独立派によって祭り上げられて行動部隊のリーダーとなって軍隊と戦い、独立運動が終わって独立派が恩赦を受けると生命の危険を感じて山に残り、マフィアの保護を受けた結果、マフィアの手先となって誘拐、恐喝などの行為に走り、1947年、選挙で人民連合が勝利をおさめ、共産主義者たちが集会を開いているところへ部下を率いて近づいて無差別に発砲して多数を殺害する事件を起こし、1950年、死体になって発見されるが、カラビニエリの発表にはいかにも不審な点があり、逮捕されたジュリアーノの仲間は山賊と警察、マフィアの癒着を暴露する。 
映画は1950年のサルヴァトーレ・ジュリアーノ暗殺で始まり、ナレーションをまじえながら1945年前後の状況と暗殺事件の経過を並行して描き、後半は共産主義者虐殺事件の公判に移る。フランチェスコ・ロージの演出はきびきびとしていて、ドキュメンタリー調の撮影はひとつひとつがいちいち様になっていて、特に群衆描写は破格の迫力がある。とにかくかっこいいのである。ただマフィア関係の記述がやや抑え目になっているのは、なにかしらの配慮が働いた結果であろうか。 






Tetsuya Sato