2012年7月3日火曜日

戦火のナージャ

戦火のナージャ
Utomlyonnye solntsem 2: Predstoyanie
2010年 ロシア 150分
監督:ニキータ・ミハルコフ


1941年6月、収容所にいたコトフ大佐はなぜか58条の対象からはずされ、そこへ現われたドイツ軍機が収容所を爆撃し、生き延びた大佐はいつの間にか懲罰大隊の兵士となり、一方、逮捕されたはずのナージャはいつの間にかドミトリの保護下でピオネールの団員となっていて、ドイツ軍の攻撃から逃れる市民とともに船に乗り込み、その船が撃沈されると生き延びて水上を漂う機雷にすがって洗礼を受け、父親を探し出す決意をしていつの間にか看護師になっている。で、そうしたことを1943年の時点でドミトリがスターリンの命令で調べ始めるという構成になっているけれど、この二重の時間軸も含め、必ずしも明確な骨格は備えていない。 
原題は『太陽に灼かれて2』で、つまり確実に完結していた『太陽に灼かれて』の続編ということになるが、あの結末から考えるとリセットボタンを何度か押したような痕跡も見え、しかも『太陽に灼かれて3』が完成しないと脈絡がつかないことになっているのだとすると、何を考えて作ったのか、というのが正直な感想になる。とはいえ冒頭のラーゲリのシーンから、避難民の群れ、沈没する船、懲罰大隊の塹壕と身長183センチ以上で構成された士官候補生の援軍、雪上の戦闘、ドイツ軍による虐殺、なんとなく間抜けなドイツ空軍といった、言わば小ネタはいずれも非常によくできていて、とりあえず見ていて飽きることはない。 




戦火のナージャ [DVD]

Tetsuya Sato