2012年6月29日金曜日

対独爆撃部隊ナイトウィッチ

対独爆撃部隊ナイトウィッチ
V nebe 'Nochnye vedmy'
1981年 ソ連 76分
監督:エフゲニア・ジグレンコ


上から下まで、政治将校や整備士も含めて女性兵士だけで構成された爆撃部隊の兵士ガーリャは負傷して入院中の身であったが、勝手に退院して本隊に戻り、指揮官の叱責を受けながらも軍務に戻る。そして夜間爆撃を繰り返しながらウクライナの土地を西へ進み、撃墜されて同僚を失い、自分は森を歩いて生還を果たし、また爆撃を繰り返し、やがてドイツに達していつものように出撃するが、ガーリャの飛行機はいつまでたっても戻らない、というきわめてシンプルな内容に女性兵士たちの日常、ガーリャの恋、部隊に住み着いている少年のガーリャへの思いなどが淡々と、どちらかと言うと映画的な文法が脱落した形でつづられている。つまりへたくそに作られた映画ではあるが、断片的な映像がいちいちロシア的な情感に満たされているため、結果的にはへたうまのようなことになり、おかげで全体が救われている。
兵士が乗り込むのは複葉のポリカルポフ軽爆撃機で、これが飛来すると地上のドイツ軍は「夜の魔女が来た、夜の魔女が来た」と叫びながらあたふたと逃げ惑うのである。いちおう航空戦装備は備えているが、格闘戦能力などはまったくないので、メッサーシュミットが現れるとばたばたと撃墜されてしまう。夜空を炎上しながら飛ぶポリカルポフはなかなかに印象的であった。 




Tetsuya Sato