2012年6月27日水曜日

奇襲戦線 ナチス弾道ミサイルを破壊せよ!

奇襲戦線 ナチス弾道ミサイルを破壊せよ!
Ballada o bombere
2011年 ロシア/ウクライナ 181分(ビデオ)
監督:ヴィタリー・ヴォロビヨフ


たぶん1943年ごろ、ソ連空軍の大尉で爆撃機(おそらくTu-1)のパイロットであるアンドレイ・グリフツォフは基地への帰還中にメッサーシュミットの奇襲を受けて僚機を失い、僚機が味方の陣地に突っ込んで爆発炎上すると、さっそく保安部隊の将校が現われて、これは裏切り行為では、と疑うので、グリフツォフは同僚をかばって保安部隊に目をつけられ、それはそれとしてグリフツォフは新たな任務を与えられてパルチザンに物資を運ぶことになるが、その物資というのが二年間も音信不通だったグリフツォフの恋人カテリーナで、それというのもドイツ軍の新兵器V2の破壊任務にあたるパルチザンが無線機と通信士を必要としていたからであったが、思わぬ邂逅を果たした二人はひしと抱き合い、それから夜空に飛び立って目的地へと進んでいくと途中でドイツ軍の対空砲火に出会って撃墜され、どうにか生き延びたグリフツォフとカテリーナはパルチザンと合流するためにドイツ軍占領下のウクライナとおぼしきあたりをさまようことになり、途中、親切な農婦に助けられ、警察に追われ、警察に囲まれるとグリフツォフは自分をおとりにカテリーナを逃がし、捕えられたグリフツォフは捕虜収容所へ送られて、そこで炎上する機から先に脱出した航法士と再会し、その航法士は生き残るために裏切り者となってSSの大佐のスパイとなり、ドイツ軍の協力で捕虜収容所から脱走すると脱走者を装ってパルチザンに接近し、その事実を知ったグリフツォフはパルチザンに危機を告げるために自らも捕虜収容所から逃げ出してパルチザンの作戦に協力するために派遣された空挺部隊に合流し、航法士はスパイの正体を暴かれるが演技によってパルチザンをだましてパルチザンの仲間にまんまと加わり、ドイツ語に堪能なカテリーナはSSの本部に潜入を果たして新兵器の輸送計画を探り出し、新兵器を運ぶ列車がいよいよ橋にさしかかるとこちらからはソ連軍空挺部隊、あちらからはパルチザンが攻撃を加えて新兵器の破壊に成功するが、グリフツォフは負傷し、グリフツォフは死んだと航法士から聞かされてカテリーナは嘆き悲しみ、グリフツォフは生きているという知らせを聞いてカテリーナは喜び、空挺部隊とともに祖国に戻ったグリフツォフはドイツ軍のパンフレットにグリフツォフの写真があったという理由で保安部隊によって逮捕され、軍法会議で死刑を宣告され、グリフツォフの子を宿したカテリーナはグリフツォフに対して下された宣告を聞いて失神する。 
とにかく盛りだくさんの3時間で、ピオネールは歌うし、ドイツ軍は村人を納屋に集めて火をかけるし、収容所の赤軍捕虜は悲惨だし、富農の生き残りはもちろんソ連を憎んでドイツ軍に協力していたりするのである。決して予算はかかっていないが、映像はやる気満々で、ところどころで状況が飛んでいたり、キャラクターが未消化だったり、あきらかに時系列がおかしかったり、脚本があほだったりするものの、もっぱら体力に救われて立派な映画に仕上がっている。とにかくネタを盛り込めるだけ盛り込み、通俗を恥とも思わないで一本勝負をかけているところは偉いと思うし、衝撃のラストはあまりのことに危うく引っくり返るところだった。
あと、ヒロインのカテリーナを演じたエカテリーナ・アスタコーワという女優がかわいらしくて、それがだぼだぼの戦闘服を着たり、シャツ一枚になったり、百姓娘の格好をしたり、洗濯女になったり、ドイツ軍軍属の制服を着たり、ソ連軍将校の制服を着たり、といろいろと着替えてみせてくれて、それがまたいちいちかわいらしいところも買いであろう。 

奇襲戦線 ナチス弾道ミサイルを破壊せよ!(2枚組/完全版) [DVD]
Tetsuya Sato