2012年6月17日日曜日

アイアンクラッド

アイアンクラッド
Ironclad
2011年 イギリス/アメリカ/ドイツ 120分
監督:ジョナサン・イングリッシュ

13世紀初頭のイングランド、マグナカルタに署名を強いられたジョン王はマグナカルタへの署名を強要した貴族たちに復讐するためにローマ法王を味方につけてデンマークから傭兵多数を呼び寄せ、海岸沿いに城を襲って城主の首を吊るすので、その現場を目撃したテンプル騎士団のトーマス・マーシャルはカンタベリーの大司教にジョン王の蛮行を告げ、オルバニー卿と少数の手勢とともにロチェスターの城を占拠してロンドンを目指すジョン王の進路をふさぎ、謀反を知ったジョン王は傭兵軍団を率いてロチェスターの城を囲んで攻城戦にとりかかる。
監督は凡作『ミノタウロス』のジョナサン・イングリッシュ。ところどころでカットまわしが雑になるが、予想に反してまじめな仕事ぶりで、珍しい素材をいちおうきちんとまとめている。ジョン王がポール・ジアマッティ、オルバニー卿がブライアン・コックス。ポール・ジアマッティのいかにもなジョン王ぶりはなかなかのもので、少々意外にも感じたが、このキャスティングは成功していると思う。オルバニー卿配下のアーチャーにマッケンジー・クルックが入っていて、その精悍なアーチャーぶりが実にかっこいい。ロチェスターの城を囲むジョン王の軍勢はまずトラビュシェットを引っ張り出して城壁を叩き、城壁に梯子をかけて乗り込もうとして失敗すると、次は攻城塔を持ち出してくる、攻城塔も失敗すると気配を殺してゴキブリのように這いより、最後には坑道を掘ってそこから火責めをしかけてくる、という具合で攻城戦の場面は手が込んでいるし、大量の血糊を使った殺陣も迫力がある。というわけで、唐突なロマンスが少々邪魔ではあるものの、満足のできる仕上がりであった。


Tetsuya Sato